AISとはなんぞや?
船舶自動識別装置(AIS)というものがあります.船舶の識別符号、種類、位置、針路、速力、航行状態及びその他の安全に関する情報を自動的にVHF帯電波で送受信し、船舶局相互間及び船舶局と陸上局の航行援助施設等との間で情報の交換を行うシステムです。
AISを活用した航行支援システムhttps://www.kaiho.mlit.go.jp/syoukai/soshiki/toudai/ais/ais_index.htm

WebでAIS情報を見れるサイトもあります.Flightraderの船バージョンです.
私の船は小型船舶なのでAIS送信機を搭載する義務は無いのですが,GARMINのGPSMAPにはAIS情報をレーダー画面にオーバーレイ表示する機能があるので,安全のためにもAIS情報を活用したいところです.
国際VHF無線機
AIS情報は国際VHFの周波数で送受信されます.そのため,AIS受信機能が搭載されている国際VHF無線機を購入して,チャートプロッターと接続するのが一般的な方法です.AIS受信機能が搭載されているモデルは25Wの据え置き型が主流で,数社から発売されています.
IC-M510J
https://www.icom.co.jp/lineup/products/IC-M510J/
GX6000J|国際VHFトランシーバーhttps://www.yaesu.com/jp/standard_horizon/gx6000j_index.html
残念ながら自分の持っている国際VHF無線機は5Wのハンディ機で,AISが付いていません.頑張って25W据え置き型を購入しようかとも検討したのですが,数年に一度の無線局の定期点検(5W機は免除)がちょっと鬱陶しいなと思っていました.
できたら無線機はそのままで,AISの受信専用機でも取り付けようかと思って探してみたのですが,
GARMINのAIS受信機の価格は$800
https://www.garmin.co.jp/products/onthewater/ais-800/
フルノの製品が10万円くらい
https://www.furuno.com/jp/products/ais/FA-40
日本無線が13万円くらい.
https://www.jrc.co.jp/product/nte380
と,なかなかお高いです.
格安のAIS受信専用機を買ってみる
いろいろ探していると,海外のサイトでAMECという会社が製造しているAISレシーバーを見つけました.これは送信機能無しの受信専用モデルですので技適も必要なく,DIYで自船に取り付けても電波法に引っかかる心配はありません.また,アンテナスプリッタ機能もあるので,今持っているハンディ無線機と同じVHFアンテナを共有できます.

円高の影響をモロに受けて高くなってしまったのですが,25Wの無線機導入のコストよりはマシなので,思い切ってポチってしまいました.

2週間くらいで到着.なぜか税関で消費税を徴収されたのが腹立たしい.
VHF用のアンテナも購入.今までの5Wハンディ無線機のゲインの低いアンテナでは到達距離が短すぎたので,少しでも遠くの電波を拾って遊漁船の情報に聞き耳を立てたいという魂胆です.
アンテナは設置する場所も大事です.遠くの電波を受信するためには高い所にアンテナを設置して,見通し距離を長くする必要があると,一陸技を取るときに勉強しました.
ダイポールアンテナ自体は安いもので十分だと思うので,アマゾンで適当にポチります.

屋根に固定.ケーブルはレーダーその他の配線と一緒に室内に引き込みます.

受信機とGPSMAPを接続(NMEA0183)
AISの情報はGARMINのGPSMAPに送信します.通信規格はNMEA0183という船用のシリアル通信です.

配線はこんな感じになっています.AIS受信機(CYPHO-150)は情報をGPSMAPに送る側なので,Transmit(Tx)の黄色と緑の線を接続します.

受信側,GPSMAPのマニュアルを見ると,NMEA0183は1系統受信可能だそうです.受信側の配線はこんな感じになっています.


受信なのでRx(茶と紫)ですね.プラスはプラスに,マイナスはマイナスに繋ぎます.
揺れる船の中でのはんだ付けは至難の業ですが,気合でなんとかします.
最後は熱収縮チューブと融着テープでケーブルをまとめます.

無事に電源が入って,アンテナに接続されると,Powerが点灯しAIS Rxが点滅します.

これでGPSMAPにもAIS情報が取り込まれるはずだと思ったのですが,デフォルトでは表示されませんでした.かなり悩んだのですが,試行錯誤の結果NMEA0183入力の速度を「NMEA高速」にしないと受信できない事が判明.


無事にNMEA0183を認識できるようになると,こんな感じで各船のAIS情報が流れ込んできます.

プロッターの地図にオーバーレイするとこんな感じです.赤の三角形がAIS情報を発信している船です.

お高い装置なので,DIY失敗したらどうしようかとドキドキしながらチャレンジしたのですが,無事成功しました.NMEA0183の勉強にもなりましたが,GPSMAPのNMEA0183の入力は1系統しかないので,次に何かやるときはNMEA2000になります.こっちはコネクタにお金がかかるので,ちょっと面倒くさいですね.
ともあれ,無事AIS情報が表示されるようになって,より安全な航海が可能になりました.
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